離婚する前に別居するときの手続き
別居している間の生活費(婚姻費用)
別居している間、収入の少ない配偶者は、収入の多い配偶者に婚姻費用(夫婦と未成熟の子どもの生活費)を請求できます。夫婦は、別居していても、収入に応じて婚姻費用を分担するためです。
婚姻費用の標準的な額は、夫婦の年収と子どもの人数・年齢から、婚姻費用の計算でわかります。夫婦の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てられます。
子どもと暮らす親(監護者)
別居している間に子どもと暮らす親は、父母の話し合いで決め、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の子の監護者の指定調停で決めます。監護者とは、子どもと暮らして世話や教育をする親です。
監護者に決まった親は、子どもの住む場所や進学先などの大事な事柄を一人で決められます。ただし、子どもの財産の管理などは、監護者でも一人ではできません。
| 項目 | 子の監護者の指定調停 |
|---|---|
| 申し立てられる人 | 父か母 |
| 申立先 | 相手の住所地の家庭裁判所、または父母が合意して決めた家庭裁判所 |
| 費用 | 子ども1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手(郵便切手の額は家庭裁判所ごとに異なります) |
| 必要な書類 | 申立書とその写し1通・子どもの戸籍謄本・子についての事情説明書・進行に関する照会回答書・送達場所等届出書 |
調停が成立しない場合は、審判の手続きに移り、裁判官がいっさいの事情を考えて監護者を決めます。
子どもを連れて転居する場合
結婚している間は父母の双方が親権者のため、子どもの転居は、原則として父母が共同で決めます。そのため、親の一方が特に理由なく、もう一方に無断で子どもを転居させることは、父母が互いに協力する義務に違反する場合があります。
ただし、DVや虐待から避難する必要がある場合は、親の一方だけで子どもを連れて転居できます。避難が被害の直後でなくても同じです。また、DVについてどこに相談すればよいかわからない場合は、DV相談ナビ(#8008)に電話しましょう。
別居している間の親子交流
別居している間の子どもと離れて暮らす親と子どもの親子交流は、父母の話し合いで決め、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の調停か審判で決めます。
決めるときは、子どもの利益を最も優先して考えます。親子交流調停の申立先と費用は、親子交流の決め方と同じです。
児童手当の受給者
離婚を前提に別居し、生計を同じくしていない場合、児童手当は子どもと暮らしている親に支給されます。単身赴任など、別居していても生計を同じくしている場合は、生計を維持する程度の高い親に支給されます。
子どもと暮らしている親は、住んでいる市区町村に、離婚の協議中で別居していることを確認できる書類を提出して、児童手当の認定請求をします。確認できる書類には、離婚の協議を申し入れた内容証明郵便の謄本、調停期日呼出状の写し、家庭裁判所の事件係属証明書、調停不成立証明書などがあります。
住所の届出
別居して引っ越した人は、引っ越した日から14日以内に、新しい住所の市区町村に転入届か転居届を提出します。
配偶者からの暴力(DV)などの被害を受けている人は、市区町村にDV等支援措置を申し出ると、配偶者が住民票の写しなどを取得できないように制限できます。申し出る先は、住所・世帯主の届出と同じです。
出典
- 裁判所「婚姻費用の分担請求調停」
- 裁判所「子の監護者の指定調停」
- 法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(パンフレット)
- こども家庭庁「児童手当Q&A(配偶者と別居されている場合の取扱いについて)」
- e-Gov法令検索「住民基本台帳法」(第22条・第23条)